2019年07月02日

北朝鮮の手の内を熟知する脱北エリート外交官の太永浩氏

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北朝鮮から韓国に亡命した太永浩(テ・ヨンホ)元駐英公使(56)の講演を聞きに行きました。

太氏は歴代最高位のエリート亡命外交官だけあって、北朝鮮の手の内を熟知していました。太氏ほど北朝鮮内側からの見方を語れる人物は他にいないと思いました。視点が明確で論理もはっきりしており、北朝鮮の戦略を正確にとらえていると思いました。

太氏は、1997年に北朝鮮から韓国に亡命し、2010年に亡くなった黄長ヨプ(ファン・ジャンヨプ)元朝鮮労働党書記以来の大物脱北者です。太氏の見方や分析を知ることは、ツイッター外交で開催にこぎつけた板門店での第3回米朝首脳外交を読み解く際にもとても役立ちます。

太氏はこのほど、6月13日に日本で発売開始された著書『三階書記室の暗号 北朝鮮外交秘録』(文藝春秋)のPRを兼ねて来日しました。

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この本の中で印象的だったのは、太氏が北朝鮮の駐英公使時代の2015年5月に、金正恩氏の兄、正哲(ジョンチョル)氏がエリック・クラプトンのロンドンでのライブをお忍びで観に来た際、61時間にわたって接待したこと。正哲氏はクラプトンの大ファンです。

正哲氏が「夜中にレコード店のHMVに行きたい」「マクドナルドのハンバーガーが食べたい」「ギターが欲しい」などと言って、わがままのし放題だったことを明らかにしています。

本の中では「一般市民には、腐った資本主義の音楽などを聴いてはいけないと言って、外国の歌を聞けば大学から追放までされる。人民には苦難の行軍を強要しながら、金一族はやりたい放題だ。ロンドンで一日に何千ドルも消費して、退廃的な西側の音楽を鑑賞するなんてありえない」と、当時の思いが書かれています。

さらに、本の中では太氏が卒業した北朝鮮の外交官養成大学である平壌国際関係大学では、なんと日本陸軍スパイ養成所の陸軍中野学校に関する本がテキストとして使われていたと書かれています。

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太氏は「大学教員たちは、『日本の中野学校卒業生たちのように祖国のために命を惜しげもなく捧げなければならない』と教育した。共産主義国であり反日感情なら世界最高である北朝鮮が、国際関係大学の学生たちに日本のスパイ学校卒業生を模範しなさいと教育するとは、なんとも皮肉なことだ」と述べています。

このことは6月24日に出演したTokyo MXテレビの「モーニングクロス」でも話しました。

実は北朝鮮の秘密工作活動と、陸軍中野学校の繋がりについては、2017年3月に私も記事にして書いていました。ちょうど金正男氏のマレーシア・クアラルンプールでの暗殺事件後です。

北朝鮮スパイと「陸軍中野学校」を結ぶ点と線
日本は貴重な歴史の教訓に目を向けるべきだ


この時に書いた拙稿が、太永浩氏の本の内容と的中した格好です。当時、この拙稿を書いた時は、ネットで「反日!」と叩かれました。でも、やはりジャーナリストとして真実、事実は報じないといけない。書いておいて正解でした。

さて、太氏の講演会は、脱北者を支援する日本の人権団体「北朝鮮難民救済基金」が主催し、6月20日に文京シビックセンターで開かれました。

講演会場の安全対策は、空港のセキュリティーチェック並みに厳重でした。私を含め、80人超の講演聴講者は入場時に、金属探知機で体を調べられたり、かばんの中身をチェックされたりした。聴講者は自らが座る席へのカバンやペットボトルの持参も禁じられました。

太氏の講演内容を踏まえ、朝日新聞の論座とビジネスインサイダー日本版にそれぞれ記事を書きました。ご笑覧ください。一応、なるべくダブらないように書き分けております。


(論座)
電撃的な米朝会談に応じた北朝鮮が考えていること

(ビジネスインサイダー日本版)
板門店の米朝首脳会談は単なる“一大政治ショー”「北朝鮮の非核化は非現実的」と脱北高官


記事の中には書きませんでしたが、太氏によれば、日朝国交正常化交渉担当大使で日本人拉致問題担当の宋日昊(ソン・イルホ)氏はもともと外交官ではなく、保衛部(=秘密警察)出身。原籍は保衛部で、保衛部から北朝鮮外務省に出向しているとの事実を明かしました。この話を今日2日に会った公安調査庁で北朝鮮担当だった元職員に話すと、「やっぱりそうだったんですね!」と納得しつつ驚いておりました。

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posted by Kosuke at 21:10| Comment(0) | 米朝首脳会談

2019年06月18日

日本は中国のネット検閲や言論弾圧に目を光らせなければならない!

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天安門事件30周年や香港での大規模デモに注目が集まるなか、中国のネット検閲や言論統制の現状について、ビジネスインサイダー日本版に書かせていただきました。中国国内外にいる多くの友人や知人、記者仲間に話を聞きました。皆様、取材に応じていただき、謝謝!お時間あればご笑覧ください。

空席の椅子もプーさんもNG。権力集中の習近平体制で強まる中国のネット規制

実は9日にAbema的ニュースショーに出演した時の話に、新たなに多少補足取材して書きました。AbemaTIMESもその時の小生の話をまとめてくれました。こちらもお時間あればどうぞ。

中国、過度なネット規制の末路 専門家は“2022北京冬季五輪”で「羽生結弦選手の演技後」に注目

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知り合いの日本人の大学教授は「昨年、上海交通大学に招かれて3時間講演+セミナーをしました。内容が良かったので、短い感想をゼミOGに翻訳してもらって私のWeChatに投稿したところ、翌日、当局から掲載禁止の指令を受けたとのこと。こんなところまで規制をする中国とは?と複雑な心境になりました」と話しておりました。

中国の国営メディアに勤務する私の友人は「中国14億人、56の民族を統制するには仕方がない」と言っていますが、こういう言論統制の事態を見聞きすると、やはりファーウェイの通信インフラの市場占有も空恐ろしくなるのが分かります。

私は中国の友人も多く、親中派と思っていますが、中国の言論弾圧には今後も厳しい目を注いでいきたいと思っています。


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2019年06月13日

教えることは学ぶこと

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6月11日に大正大学の1、2年生の皆さん約100人を前に「ジャーナリズム ニュースの作り方と見方」をテーマに約90分間、講演させていただきました。皆さん熱心で、こちらも大変学ばせてもらいました。外川智恵先生、川喜田尚先生、お招きいただき、誠にありがとうございました。貴重な機会を与えていただき、嬉しいばかり。楽しかったです^^ 大学生を前にすると、自分もなぜか普段よりもざっくばらんに失敗談を含め、率直に話すことができます。若い方にぜひ僕の経験や教訓を生かしてほしいと思ってしまいます。

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教えることは学ぶこと。私からもいくつか学生さんに逆に質問しました。大変驚いたのが新聞を取っている人が思った以上にいたこと。ざっと6、7人はいました。それも電子版でなく紙で購読している人がほとんどでした。

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また、若者を中心に人気を集めるスマホ向けショート動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」は、あまり使っていないとのこと。大学生ではなく、高校生以下のもっと若い世代で流行ってきているのですね。


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講演中に紹介しました、コロンビア大学ジャーナリズムスクール(J-School)時代に使っていたテキストの日本語版がこちらに。



この本では、匿名の情報ソース報道の問題点などがきっちり書かれており、日本の次代を担うジャーナリストにもぜひ知って欲しい内容です。とても良い教本です。


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今日は僕も将来、大学でとても教えたい気分になりました^^

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教室内の写真は外川智恵先生のご提供です。撮影、どうもありがとうございました。

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posted by Kosuke at 13:16| Comment(0) | 講演